小1から中3まで無理なく学べる!プログラミング学習完全ロードマップ【保護者向けガイド】

小1から中3まで無理なく学べる!プログラミング学習完全ロードマップ【保護者向けガイド】

プログラミング教室 子供

2020年度から小学校で、2021年度から中学校でプログラミング教育が必修化され、すべての子どもたちがプログラミングに触れる時代になりました。 [2, 19, 24] とはいえ、「うちの子についていけるかしら?」と不安に思う保護者の方も多いのではないでしょうか。学校でのプログラミング教育の主な目的は、専門的なコーディング技術の習得ではなく、物事を順序立てて考え、問題を解決する力、すなわち「プログラミング的思考」を育むことにあります。 [5, 6, 7] この記事では、プログラミング初心者のお子さんを持つ保護者の方向けに、小学1年生から中学3年生まで、お子さんが無理なく段階的にプログラミングに親しめる学習のロードマップ(学習計画)を提案します。各学年で身につけたいスキル、おすすめの教材、つまずきやすいポイントまで、専門用語を避けながら分かりやすく解説しますので、ぜひお子さんの学びの参考にしてください。

小学校低学年(1~2年生):遊びを通じて「順番」の感覚を養う

この時期の目標は、パソコンを使わずに、遊びを通してプログラミングの基礎となる「順序立てて考える力」に親しむことです。難しいことは一切不要。「まずAをして、次にBをする」といった手順の大切さを、身体を動かしながら楽しく体験させましょう。

子供 ビジュアルプログラミング

到達目標・習得スキル

「順次処理(シーケンス)」の概念を体験的に理解することが最大の目標です。これは、物事を決められた順番通りに行うという考え方で、プログラミングの最も基本的な要素です。キーボード操作などはまだ難しいので、カードを使ったり、直感的な操作で結果がすぐにわかる教材を通じて、「指示の順番が変わると結果も変わる」という面白さを体感させることが重要です。

学習内容の例

コンピュータを使わない「アンプラグド」と呼ばれる学習方法が効果的です。 [7] 例えば、床に置いたカードの指示通りにゴールを目指す「ロボットごっこ」や、特定の手順でブロックを組み立てるパズルなどが挙げられます。こうした遊びを通じて、論理的に考える力の土台を育みます。

おすすめ教材・ツール

  • Viscuit(ビスケット):自分で描いた絵を動かせる、お絵かき感覚のプログラミングツールです。 [13, 14] 文字を使わないため、ひらがなを習得中の子どもでも直感的に楽しめます。
  • ScratchJr(スクラッチジュニア):ブロックをドラッグ&ドロップしてキャラクターを動かし、簡単な物語やアニメーションを作成できるタブレットアプリです。視覚的な操作でプログラミングの世界に触れられます。
  • アンプラグド教材:絵本『ルビィのぼうけん』シリーズや、お菓子のポッキーを並べてプログラミングを体験できるグリコの「GLICODE」など、遊びながら学べる教材も豊富です。

つまずきやすいポイントとサイン

低学年の子どもは集中力が長く続きません。ソワソワし始めたり、「もうやめたい」と言い出したら、課題が難しすぎるか、単調になっているサインかもしれません。活動時間を短く区切ったり、体を動かす要素を取り入れましょう。また、「順番」という抽象的な概念が理解できず、指示を飛ばしてしまうこともあります。これは自然なことなので、焦らずに何度も一緒にやって見せ、視覚的な手がかり(番号を振ったカードなど)でサポートしてあげてください。「できた!」「おもしろい!」という成功体験を積ませることが何より大切です。 [12]

小学校中学年(3~4年生):論理的思考力を育て、簡単なプログラムに挑戦

中学年では、より意識的に論理的思考力を育んでいきます。「もし~なら、こうする」といった条件付きの考え方や、「同じことを繰り返す」といった効率化の考え方に触れる時期です。

到達目標・習得スキル

「順次処理」に加え、「反復(ループ)」「条件分岐」といったプログラミングの基本的な概念に触れ始めます。これは、「同じ処理を効率よく繰り返すにはどうすればよいか」「特定の条件のときだけ動きを変えるにはどうすればよいか」といった考え方です。また、コンピュータが社会でどのように役立っているかを知り、プログラミングへの興味を広げることも目標です。

学習内容の例

算数の文章問題を解く手順を図で表現する「フローチャート」を作成したり、身の回りの電化製品がどのようなプログラムで動いているかを考えたりする活動が行われます。これにより、問題解決の手順を自分で考え、整理するトレーニングを積みます。

おすすめ教材・ツール

  • Scratch(スクラッチ):8~16歳を対象とした無料のビジュアルプログラミング言語です。 [1, 4, 8, 10] マウス操作でブロックを組み合わせるだけで、ゲームやアニメーションを制作でき、中学年の入門に最適です。 [28]
  • CodeMonkey(コードモンキー):サルのキャラクターを動かすゲームを通じて、プログラミングの基礎を楽しく学べるオンライン教材です。
  • ロボット教材:レゴ® WeDo 2.0など、ブロックで組み立てたモデルをプログラミングで動かす教材も人気です。工作好きの子どもには特におすすめです。

つまずきやすいポイントとサイン

「なぜ、そうなるのか?」を自分で考える場面が増え、論理を組み立てることに戸惑い、手が止まってしまうことがあります。そんな時は、「まず何をしようか?」と問いかけ、考えを小さなステップに分解する手助けをしてあげましょう。また、Scratchなどでプログラムがうまく動かない(エラーが出る)と、子どもは途方に暮れてしまいます。親がプログラミングに詳しくなくても、「一緒に見てみよう!」と寄り添い、原因を探す姿勢を見せることが子どもの安心につながります。

小学校高学年(5~6年生):複雑な課題に挑戦し、創造性を発揮する

高学年では、これまで身につけた思考力を活用し、より複雑で創造的な課題に挑戦します。自分で課題を見つけ、プログラミングを問題解決のツールとして使いこなす段階です。

到達目標・習得スキル

繰り返しや条件分岐を使いこなし、「変数」(数値や文字などを入れておく箱のようなもの)や「デバッグ」(プログラムの間違いを見つけて修正すること)といった、より抽象度の高い概念も学び始めます。最終的には、自分のアイデアをプログラミングで形にする成功体験を通じて、創造力と問題解決能力を伸ばすことがゴールです。

学習内容の例

学校では、算数で正多角形を描画するプログラムを作成したり、理科でセンサー付きのロボットを制御して電気の利用について学んだりします。 [7, 14] 総合的な学習の時間では、地域の課題を解決するためのアプリを企画・制作するなど、より実践的なプロジェクトに取り組むこともあります。

おすすめ教材・ツール

  • Scratch(スクラッチ):引き続き中心的な教材ですが、変数やリスト機能などを使って、より高度なゲームやシミュレーションの作成に挑戦します。 [1, 14]
  • micro:bit(マイクロビット):LEDや各種センサーが搭載された手のひらサイズの教育用コンピューターボードです。 [3, 15, 16, 20] ブロックプログラミングから本格的なテキストプログラミングへの橋渡し役として最適です。 [30]
  • ロボット教材:より本格的なロボット制作が可能なレゴ® マインドストームやmBotなども、子どもの探求心を刺激します。

つまずきやすいポイントとサイン

「変数」などの抽象的な概念でつまずくことがあります。その際は、「数字を入れておくための箱だよ」といったように、具体的なものに例えて説明すると理解しやすくなります。また、プログラムが複雑になるにつれて、バグの原因を自力で見つけるのが難しくなります。イライラしている様子が見られたら、「どこまで動くか確認してみようか」「この変数の値を見てみようか」など、問題箇所を特定するためのヒントを与え、試行錯誤するプロセスをサポートしてあげましょう。失敗を恐れず、粘り強く取り組む姿勢を育てることが大切です。 [9]

中学生(1~3年生):プログラミングを「問題解決の手段」として活用する

中学校では、技術・家庭科の授業の中で、より本格的にプログラミングを学びます。ネットワークや情報セキュリティについても触れ、プログラミングを社会の問題解決に活かす視点を養います。

中学生 プログラミング ロボット

到達目標・習得スキル

目標は、「身の回りの問題を発見し、プログラミングを含む情報技術を活用して解決策を考え、作成したシステムを評価・改善する」という一連のプロセスを体験することです。具体的には、センサーを用いた計測・制御システムや、ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツ(簡単なチャットなど)のプログラミングに取り組みます。スキル面では、ビジュアルプログラミングに習熟し、興味のある生徒はPythonなどのテキストプログラミングの初歩に触れることもあります。

学習内容の例

授業では、「災害時に役立つ情報共有システム」や「快適な生活を実現するIoT家電の制御プログラム」など、より現実社会に即したテーマが設定されます。グループで協力して一つのシステムを開発するプロジェクト学習を通じて、コミュニケーション能力や協調性も育まれます。

おすすめ教材・ツール

  • Scratch / micro:bit:小学校から引き続き活用されますが、より高度な機能を使った課題に取り組みます。
  • Progate(プロゲート):スライド形式で学び、ブラウザ上で実際にコードを書きながら学習を進められるオンラインサービスです。PythonやJavaScriptなど、本格的な言語を学び始める中学生に人気です。 [27]
  • Unity / CodeCombat:ゲーム制作に強い興味があるなら、プロも使用するゲームエンジンUnityの初歩に触れたり、ゲーム感覚でPythonなどを学べるCodeCombatに挑戦したりするのも良いでしょう。 [27, 29]

つまずきやすいポイントとサイン

生徒間のスキル差が開きやすい時期です。初心者が気後れしないような声かけや、得意な生徒にはより挑戦的な課題を与えるといった個別対応が重要になります。また、受験勉強との両立も課題となります。プログラミングで培われる論理的思考力は、数学や理科など他の教科の学習にも必ず役立つことを伝え、バランスよく取り組めるようサポートしましょう。 [24, 33]

まとめ:保護者にできること

プログラミング教育の目的は、未来社会を生き抜くための普遍的な力を育むことです。 [24, 33] 保護者として、必ずしも専門的な知識を持っている必要はありません。大切なのは、お子さんが「プログラミングは楽しい」「もっとやってみたい」と感じられるような環境を整え、その成長を温かく見守ることです。 [12, 31]

お子さんが何かに夢中になっていたら、その成果を褒めてあげてください。 [12] つまずいていたら、「一緒に考えてみよう」と寄り添ってあげましょう。失敗と試行錯誤を繰り返す中でこそ、本当の意味での問題解決能力は育まれます。 [9] このロードマップを参考に、ぜひ親子で楽しみながら、プログラミングの世界を探求してみてください。その経験は、お子さんにとって一生ものの財産となるはずです。